Sarpatta Parambarai (Tamil/2021)をオンラインで。
スポ根にはあまり興味がわかないのだが、パー・ランジット監督作となれば話は別だし、OTT公開だがかなり好評なのでワクテカで臨んだ。冒頭のマドラスのコンテナ埠頭から北チェンナイ・ワールドに持っていかれ、ボクシングの試合シーンでは心の中で怒号をあげた。アーリヤ―の芝居も疑いなくこれまでの最高レベル。製作中のシックスパック写真にはげっそりしていたが、実作品を見て筋トレの必然性があったことを納得した。個人の運命の道行きに社会的な大事件を被せることで凄味が増す脚本。ジョン・コッケンを始めとした敵方・脇役のボクサーたちの迫真性も凄い。基本的には男たちだけのドラマだが、女性の脇役も印象的(ただ幾人か顔が似すぎているのが気になった)。特に嫁役のドゥシャーラー・ヴィジャヤンが良かった。新婚初夜に喜びの舞いを踊る場面は、ソングシーンの少ない本作で一番アガったところ。70年代の北チェンナイは茅葺の平屋が残ってる地域だったというのは、ビジュアル的な最大のインパクト。にしても北チェンナイが舞台で、本作では人が死なないというのも印象的。