Madras (Tamil/2014)をオンラインで。
5年ぶりぐらいの再見。もっとずっとメランコリックな作品と思っていたけど、お笑いもあるし、終盤にはかなりのアクションシーンも。ただ、カメラが引いて例の肖像画を見せるシーンが繰り返されるたびに、何とも言えない寂寥感が立ち上ってくる。そしてこれこそが本作の最大の魅力。肖像画に加えられたあの文字については調べること。真面目なメッセージ映画ではあるのだけれど、カールティの魅力が全開ではある。少し抜けたところもあるけど、勉強ができて、爽やかにホワイトカラー職をこなし、友情に厚く、堪え性がなく、異性に対しては純情そのものでもある。そういう割といそうなトッポいニイちゃんを皮膚のようにまとい、うつろう感情の流れで観客を釘付けにする不思議な力がある。キャサリンも、自立して相手を正面から見据えて話す女性だが、ロマンチックでもあり、慎ましい美しさが際立っているリアルなキャラで、普段の化粧オバケとは別人のよう。他カーストとの軋轢の描写に行く前の完全に閉じたダリト宇宙の物語として前作Athakathiと共に貴重な作例。ヴィヤーサプラム住人はどう評価したのだろう