Sankarabharanam (Telugu/1979)をDVDで。
これは下手すると20年ぶりぐらいの鑑賞だったかも。かなり状態が悪い(特に音声)のはオーサリングがなってないのか、元フィルムが悪いのか。デーヴァダーシーの女性がバラモンの声楽家に信仰に近い尊崇を捧げているが、自分からは何も言えず遠くから眺めている。彼女が水揚げされそうになり逃亡するのを助けたところから、声楽家は誤解を受け、至高の地位から転落するが、誇りを失わない。それと同時に声楽家の一人娘の恋路が描写される。これを初見した時は、ヒロインの美しさと劇的なラストに感動するばかりだったが、その後の見聞から色々見えてくるものもあった。まず、古典音楽の純粋さとそれが面している危機が強調されていること。舞台がゴーダーヴァリ沿岸地方であること。中産階級が決めつけたデーヴァダーシー制度の「罪悪」が、ヒロインの母親に収斂して単純化されていること。カーストによる偏見を持たない偉大な主人公が全面に描かれているとは言え、やはりバラモン文化の礼讃的なテイストが強いこと。踊りよりも歌の方が高等であるという無言の了解が前提にある作劇であることなど。