『不即不離―マラヤ共産党員だった祖父の思い出』(台湾/2016)をオンライン特別上映で。
マラヤ共産党についての貴重なドキュメンタリー。20世紀前半に結党された同党は英領マラヤの華人が中心。当時の華人は英領マラヤの市民権は与えられず本籍は中国のままだった。英国の支配への抵抗から始まり、日本軍の進駐後は、英国からの渋々ながらの武器供与を受けて抵抗し、英国が去りマレーシアが独立した後は、政権から共匪として狩られ、処刑されるか、中国に強制送還されるか、あるいは受け入れを表明したタイに移住するかした。党員にはかなりの数の女性が含まれ、また少数ながらマレー人もいた。中国に強制送還された人々は、外国の親族からの仕送りを受けたことなどもあってスパイの容疑が掛けられ、文化大革命時代に殺されたり自殺した者もいた。彼らのほとんどが英領マラヤ生まれの2世3世で、故郷であるマレーシアへの里帰りを焦がれているが現実的には不可能に近いらしい。台湾で活動するマレー人監督ラウ・ケクフアットは党員だった祖父を追って本作を撮ったが、マレーシア国内での封切りは現在もないという。
http://yama.cseas.kyoto-u.ac.jp//film/report/2017awtl.html