Mandela (Tamil/2021)をNTFLXで。英語字幕。
寓話風とリアリズムが入り混じったメッセージ映画。村のこまごまとした描写にはリアリティがあり、たとえば「ようこそサッジャンプルへ」のような作り物めいた予定調和感は少ない。まず村落のトイレ問題、それからダリト差別、カースト間抗争、そこからの地方自治レベルでの選挙の腐敗が語られ、最後には拝金主義への戒めまで盛り込まれる。しかしカースト間抗争を語るのに、北村と南村という言い換えはやはり解釈を難しくしているのではないか。か細いヒントは南村の若者が壁に貼るシャシクマールの写真(さらっと調べたところではヤーダヴァだそうだが)。最も胸を打つ描写は、選挙騒動が起きる前の主人公の生活の描写。黙々と仕事をこなすが、対価をばっくれられることもある。配給食材の各戸への配達など、本来の職能とは無関係なことまで無給で奉仕させられる。緊急のトイレ掃除に呼ばれるが、車に乗ることすら許されず、後を走ってついていく。ヒロインが体現する郵便という制度の近代性。終わり方もうまいが、結局カースト・ファナティックな候補者のどちらかが勝ったことになるのはどんなものか。