Thodari (Tamil/2016)をYTで。
余りにも評判が悪くて気になりながらもほったらかしだった一作。いや、一般向きではないかもしれないけどとてもいい。ダヌシュの十八番であるロウワーな底辺労働者はもちろんいいが、キールティの「負けが込んでるのに全然気付いてない天然のバカの子ちゃん」が素晴らしい。マラヤーラム語とマラヤーラム語混じりのタミル語が話され、たぶんタミル人に意味がとれるように調節されているのだろう。最初の客車上の幻想ソングから始まり、全編の半分近くが走行中の列車の屋根で展開するというイメージ。特に前半、ドゥードゥサーガルの滝からしばらくの西ガーツ区間、実際の場所ではないのだろうが、プラブ・ソロモンお得意の霧に煙る緑の山地の風景が素晴らしい。ハリーシュ・ウッタマンのサイコ野郎のキャラはやや説得力に欠けるか。まあそれにしても、老朽化した橋を全速力で渡ったり、火災を沿道から消し止めたり、ヘリを投入したりと、凄いシーンをCGで撮った技術は大したもの。クライマックスのチェンナイ・セントラル駅突入のシーンには確かなカタルシスがあった。プラブ・ソロモンの鉄分含有量はかなり高いと見た。