Maari (Tamil/2015)をキネカ大森で。
邦題は『マーリ』。ダヌシュはもちろん一定の評価をしてるのだけど、なぜここまで日本で受けたのかが完全には分からずにいる。最初期のKaadhal Kondeinを代表とする病んだ奴、VIPを代表とする等身大の若者像、Aadukalamあたりからのリアルなダリトもの、この辺はかなりくっきりキャラが立ってたけど、それ以外がどうもとりとめがなくて、でも現地でもどんどんスターになっていってるのは横目で見てた。本作はまあ大スターに許されるお気楽な歌って踊って大暴れ路線の代表作か。ただ、他のスターがやるその手の作品と違ってペーソスが前面に出ていて、やはりそこはさすがと思った。ラストの格闘シーンなど、CGの安っぽさとかがどうかと思うのだが、本当の山場はその前のお祭りソングで終わってしまっていたのかも。カージャルは「マガディーラ」でのションベン臭い小娘のイメージがなかなか抜けなかったが、本作あたりから艶が出てきたのかもしれない。ヴィジャイ・イェースダースはこういうお祭り映画に相応しい半端悪人ぶり。敵方の小者まで、キャラの立った顔が揃っているのが好もしい。