The Disciple (Marathi/2020)をNetflixで。日本語字幕付き。
邦題は「夢追い人」。チャイタニヤ・タームハネー作品だから、予定調和の芸道ものにはなる訳ないのは分かっていたのだが、なんとも心ふたがれる一作。ヒンドゥスターニー音楽についてよく知らなくとも、主役の男の「ダメなアーティスト」オーラが凄くていたたまれなくなることも。24~36歳の変貌と合わせて凄い演技。リアリティーショーの優勝者である女性の挿話によって、旧時代の求道的古典芸術と現代のポップカルチャーの対比は非常に明快に描写される。しかし純粋を求める古典芸術において、どうしてもブレークスルーできず、一家をなせない者はどうしたらいいのかという話。歌において霊感の降りてくる無我の境地を達成できない主人公だが、ムンバイの街をバイクで移動する時だけは、全てから解き放たれ浮遊する境地を味わう皮肉。最後に彼は音楽家としては半端なまま、アールワール派の伝統遺産の管理人的なところに落ち着くことが暗示される。彼を叱咤する実在のグルもまた、老いて衰えていくことが示され、声を聞いたこともない伝説の女性歌手の教えだけが残される。