『アル・リサーラ /ザ・メッセージ』(1976)をイスラーム映画祭で。
リビア、モロッコ、エジプト、サウジ合作。ムハンマドその人については影ですら映さないという幻術映画的な禁欲性と、全盛期ハリウッドの歴史大作風のエンタメ(実際に英語版で主役を演じたのはアンソニー・クインだったというし)が魔結合した不思議な207分。休憩ありだったので最後までスッキリ見られた。預言者が出てこないのは知ってたけど、アリーもまた、劇中には登場するのに剣の先しか映さないという気配り。こういう作品にありがちなんだけど、悪役扱いのキャラの方が個性豊かで魅力的なのはなぜなのか。特にヒンドの魔女っぽい演出が凄い。教団側で良かったのはビラール。それからイスラーム以前のアニミズム的宗教のトーテムが集まった旧カーバ神殿の秘宝館的佇まいにドキドキ。はっきり言えば非常に魅力的。そういう神さんを押し頂いて行進する際のどんどこ鳴り物にもワクワクした。難を言えば、ヒンド以外の女性キャラがあまりいなかったこと。教団内で女性がどういう位置づけだったのかを知りたかったが、宗教界の重鎮ともすり合わせるという慎重な製作では踏み込めなかったのか。