Sepet (Malaysia/2005)をYTで。
ヤスミン・アフマドの傑作とされているものを英語字幕で鑑賞。日本語タイトルは『細い目』。さして長くはないし、英語字幕で充分だろうと思って臨んだが失敗。劇中の台詞は7割ほどがマレーシア英語で、それには字幕がついていないのだった。そしてその聞き取りに歯が立たず、重要と思われる台詞のかなりが分からずに見ることになった。しかしまあ、日本でも大傑作とされている本作、多民族社会に生きる若者の姿を写実的に描き、そこに民族差別への批判を盛り込んだと理解されているようだけど、実はかなりハイコンテクストな作品なのではないか。まずブーミプトラ政策が頭に入っていないと、ヒーローとヒロインとの間の格差が単に偶然の個人的なものとしか捉えられない可能性がある。まあ普通に、マレー人と中国系人がいて、後者の方が差別される地位にあるとか体感できないし。作中のタゴールや金城武が象徴するように、登場人物は皆が何かしらの形で越境の指向性を持っている。中国系ヒーローがやはり中国系の友人にプラナカンとは何かと説明する箇所が大変に興味深い。ここを中心として日本語字幕版を見直したい。