Sathuranga Vettai (Tamil/2014)をYTで。
予備知識ゼロで臨んだ。テンポが良く、かなり考えられた詐欺師もの。ありふれた蛇を稀少種として売りつける詐欺から始まり、大掛かりなマルチ商法で水道水を健康食品として売りさばく詐欺。普通はそこから細く長くという戦術に切り替えるところを、また蛇詐欺をやって捕まり、裁判にかけられ、しかし実弾ばら撒き戦術によって無罪放免になったところを、かつて詐欺でコケにした相手に捕まって…と際限なく続く化かしの連鎖。マルチ商法は世界どこにでもあるが、それ以外の騙しの手口というのがインドならではのもので飽きない。口八丁手八丁の詐欺師が結局のところ正道に戻るまでの跛行をたっぷりと時間をかけて描くのだが、妙なユーモアが素晴らしい。たとえば蛇に映画スターの名前を付けるところなど。多くのシーンが田舎町か地方の半端な都市を舞台にしており、そこに蠢く欲深な詐欺被害者たちの描写にリアリティーがある。一方で、主人公が一時的に暮らす桃源郷のような農村は、ちょっと理想化が過ぎのような気がした。あれで生活が立ちいくならば、誰も都会のスラムには住まない。