Iblis (Malayalam/2018)をYTで。
何の予備知識もなく見たけど、イブリースはイスラーム世界の悪魔とは関係ない。設定は80年代とどこかに書いてあったが、レトロ感はなく、一周回ってのお洒落が目につく。ほとんどのキャラが絣風の天然素材の緩衣をまとう。爺ちゃんなんか絣パッチ―ワークだ。そして登場人物が運ぶ皿の上にもしも目があったらこう見えるというような凝りまくった映像設計。後からAdventures of Omanakkuttanの監督だと知って納得。しかしなあ、前作でもそうだったけど、最近の言葉で言うところの「設定資料集」だけ完璧に作り込んで、そこで息切れしてストーリーが追い付かなかったっていう感じだ。生者はいがみ合い、憎み、憂え、恐れる。それに対して、死者はただ朗らかに過ごす。そして両者は同じ空間に存在するのだが、前者は後者を認識できず、後者は前者に働きかけができない。両者が幸運に共存するために、死者はただひたすらに生者を自分たちの側に呼び込む(ゾンビ映画か?)。死者で人口爆発しないため、生者が死者のことを思い出さなくなると、「向こう岸」へ行く。これはつまりモークシャか。