Matha (Malayalam/2000)をDVDで。12年ぶり。
思い出すだけで泣けてくるほど好きな作品なのに、その魅力を言葉にしようとするとどうにも詰まるので再見してみた。10年以上経つと、構成の甘さや場面転換の不自然さなど粗も見えなくはない。特にややダレ気味の後半の、ティラカンにまつわるエピソードや歌を失うくだり(それがラストでのシャーストリに呼応するものだとしても)などには感心しない。ただ、そうは言ってもサムユクタ・ヴァルマの圧倒的な演技には何度見ても感嘆するほかない。バンガロールからやってきた小生意気なティーン、ハーフサリーを纏った夢多い文学少女、新婚初夜の夫の性暴力に悄然とする花嫁、患者からの信頼篤いドクター、上品なサリーを着こなす有産階級の奥様と、シチュエーションごとの演じ分けが完璧。最終シーンでの失意と呆然と諦念の表現は圧巻。結局この話は、失われた純真、葬られた夢に対するオードなのか。かなり低予算で作られたはずだが、Geyamソングの劇的構成、雨降らしソングの詩的世界の完璧なコンポジションはいまだ超えられていないと感じさせる。Etrameソングの取り込み方も素晴らしい。
Matha (Malayalam/2000)をDVDで。12年ぶり。
訂正:Mazha (Malayalam/2000)だった。
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