Mathilukal (Malayalam/1989)をYTで。
久しぶりにアドゥール先生の芸術映画。名作の誉高いのにこれまでDVD化されたことがなく、諦めてたら、YTに英語字幕付きで画質も悪くなくアップされていた。何がどうなってんだか。バシールの原作は読んでいるのでストーリーは折り込み済み。ディスク化はないものの、ケーララではインド独立記念日にこれがTV放映されたりしてるのを知ってるが、何とも心優しい独立闘争譚(いや、闘争してないな)。まず驚くのは独立闘争時代の英領マラバール・カンヌールの牢獄の人道的で長閑な佇まい。この間「サンジュ」で見た独立後のムンバイ監獄とえらい違いだ。獄衣や寝具がパリッとしてお洒落、独房も清潔で、まるで僧院の宿坊みたい。トイレは共同で、独房内にはないことが台詞で分かる。これらは映画的脚色なのか、史実に即しているのか。ともかくそういう設定から予想外の映像美があった。一番の期待はKPACラリタの声の出演だが、これは判断に迷う。あの声を聞けば、誰だって彼女の顔を思い浮かべる。つまり彼女を映しているのと同じなのだが、本当にそれでよかったのか、それが原作からの最大の改変。