Kayamkulam Kochunni (Malayalam/2018)をDVDで。
畢生の超大作に見えて案外ひっそりと消えていった感のある歴史もの。堂々170分。19世紀前半に実在したとされる義賊を描く。昨今ブームの時代ものの中では、庶民視点という意味で画期的かも。きらびやかな歴史絵巻を繰り広げようという意思は感じられず、マラヤーラム映画特有の隙間の多い風景が展開して、世界の片隅の辺境感が強い。モーハンラールは文句なしの格好よさ。プリヤ・アーナンドはシュードラの娘には見えずミスキャスト。判断に困るのは主演の二ヴィン。身体を鍛え、乗馬やカラリの特訓をしたのは評価したい。ただ伝説の義賊としてはどうかと思う瞬間も多々あった。豪傑ではなくとても生真面目な奴に見えてしまうのだ。アウトローの孤独や開き直りは表現されず。物語は言い伝えを順々になぞりながら淡々と編年体で語られていくように見えながら、最後のシーンでひっくり返す。ここと、中盤の市(ヒンドゥーの祭?結婚式?)での格闘シーンはファンタスティック。歴史ものというよりは時代アクションとして吹っ切れることができれば、大成功になっていたんじゃないか。