Sanju (Hindi/2018)をインド版DVDで。
ラージクマール・ヒラーニーは苦手だが、本作はかなり良かった。仮に完全なフィクションだったとしても楽しめたストーリーだと思う。実在でなおかつ現役のセレブの伝記とは相当にトリッキーだし、普通に考えてイタいゴマスリになる危険は十分にあったが、独房で便器の中身が逆流シーンや入所時の身体検査のシーンが物語るように、映画の上いく劇的な人生が面白くない訳がないのだ。とはいえ各方面への気遣いもバッチリで、主要テーマは、父子の愛、友情、マスコミ批判に絞られ、男女間の生臭い話は抑えられた。インド映画に特有だと思うのだけど、この映画という虚構の中への現実のリフレインの混ぜ込み方は凄い。他の国なら躊躇して避けるだろうことを意識的にガンガン入れてきてる。癌のサバイバーであるマニーシャーを末期癌のナルギス役で起用したり、役者業でのスランプ突破口としてヒラーニー監督のMunna Bhai MBSSを出してきて劇中でそれを再現するとか。ラストのソングで当人が出てくるとか。手前味噌と言われかねないものをドーンと打ち出してそれを見せ場にする。ジェットコースター感。