Thackeray (Hindi/2019)をDVDで。
ずっと見たいと思ってた謎映画。右翼の超大物の伝記でナワーズが演じるというの、いきなり巨大な疑問符。アート映画のように問題のある人物にスポットライトを当て何らかの批判的なメッセージを発するというのではない、だってシヴ・セーナー公認の伝記映画なんだから。当然ながらなぜこの役を受けたのかというのは何度もインタビューで尋ねられたようだが、役者としてのチャレンジという以上のことは答えていない。出版界の片隅の一漫画家から、政治団体の首領へ、そして結党して連立によって州与党の一翼を担うまでになる道筋を描く。描写は淡々として激情的なところはどこにもない。たとえば、ボンベイをムンバイに変えさせたことひとつとっても、分厚い歴史があるはずなのだが、それは法廷での二言三言に圧縮されている。映像はかなり作り込んだ感じで、冴え冴えと冷たいけれど目に心地よい。筋を追いながらも、いつもの疑問「タ―クレーとラージクマールの違いは政党政治に乗り出したことだけだったのか?」が再び去来した。ラージクマールのファンとして、BJPの批判者として違いを見つけたいところだけど。