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2009年のベトナム映画『漂うがごとく』(Adrift : Chơi vơi)を試写で。 

ベトナム映画といったら『無人の野』(1979)と『青いパパイヤの香り』(1993)の二本きり。なので俳優や監督にも全く馴染みなく、まっさらな状態での鑑賞。題名通り、水棲植物が波にたゆたうように頼りなく、ゆらゆらとくっついたり離れたりする男女のセクシュアリティの断片。色々と謎のままで終わる結末はアート映画のそれ。身も蓋もなく書くならば姦通をもプロットに含んでいるので、普段接している国の映画だったら、仮にアート映画だったとしても許されない筋立てなんだけど、東南アジアのあの揺らぎのなかでなら、それもありだろうと思わせる。セクシュアリティを巡る欲望と抑圧を巡るにも拘わらず、中心となる男女の面立ちが、あどけないと言えるほどの若々しさ。それが一層のエロティシズムを生む。日本人の自分ですらそう感じるのだから、欧米人などにはさらに刺激的なものとなるのではないか。久々の尖がったアート映画に普段使わない脳筋を刺激された感じ。

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