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『ダンケルク』 

今年のベスト。今のところ。
まさに映画。これぞ映画。
物語やイデオロギーを一切排して、音と映像で観客を圧倒する。
異なる時間展開のストーリーを最後に一つにまとめていく展開は、主人公のいる感情的、感傷的戦争ではなく、そこにある戦争を映画として描く手法としてとても効果的だ。
映画は、観客を犯してなんぼ。
ウダウダと理屈を並べて賢く語る映画も良いがよりプリミティブな力に溢れる映画の前では、上品で高尚な遊びでしかない。
椅子を震わす銃弾や飛行機の音、刻み続ける時計の音、鼓動をもした音楽、圧倒的な画、冒頭からラストカットまで目が離せず、あっという間に終わってしまった。
トム・ハーディーの燃えるスピットファイアーの唯一ドラマ的な検出以外は、分かりやすい盛り上がりや臭い演出はないがそれでも人の誇りや意思、諦感や絶望はしっかりと伝わってくる。
語る事でなく魅せる事で戦争を描ききった、戦争映画の傑作だ。

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