『昼顔』
傑作。ホタルの緑色の発光をアレで擬似的に表現されて、その幻影の光に惹かれてしまうが、然しそれは間違いだという事を、アレの発光の変化で提示する。アレの選択が優れており、全編に散りばめてる“ホタル”のイメージにバッチリ合ってて慧眼だ。上戸彩が生にしがみつく為に、よじ登るのが熱い。上戸彩のよじ登る所、音楽でもかなり盛り上げていて、なんだか『ダークナイト ライジング』のデシデシバサラバサラデシが流れても違和感ないと思う(違和感)。
三宅隆太氏が言ってた“蟹と修造”理論の映画とも言える。不倫をして片割れを獲っていく側と、不倫をされて片割れを獲られてしまう側の、二者の対立。獲られた側は、外的・内的両面で損傷を負う。外的損傷は治療の余地が残されるが、内的損傷は深く抉られ傷跡が永遠に残り続けて、心身を呪う。
エレベーターが開かれる瞬間の、本来なら祝ってもいい状態を、おどろおどろしさの方が先に立っているという状態は凄い。後で語られる、その状態を作り出した真意が分かり始めると只事ではなくなり、追い込み方が尋常じゃない。追い詰められ、憎悪に駆られ、気が触れた人間の出る、正統ホラー。