リング
鈴木光司の出世作であり、Jホラーブームを巻き起こしたキラーコンテンツ。
『女優霊』の監督中田秀夫と脚本高橋洋のタッグで送る、呪いのテープを巡るタイムリミットサスペンス。
映画を見ていなくとも内容は知ってしまっているので、恐怖よりも観光地に赴くような気持ちだった。
ここで怖がって下さい!という場面で仰々しい音楽が入るので、親切でもある。
問題の呪いの動画部分よりも、動画視聴者の顔が歪む写真、見える真田広之のもとに現れる薄汚れた白いパンプスの足といった、細かな演出が光っていた。室内撮影時における、気に留めるほどでもないが不穏さのある薄暗さだとか。
もはやコメディとなってしまった、井戸から出てくる場面は、しかし顔の見せない相手が唯一見せる狂気に溢れた眼力が色褪せない。
呪いの元凶である貞子を成仏させれば呪いは消えるだろうという、古来よりつづく因果の定理から、ある動作を踏まなければ解放されないという機械的な手段を踏まなくてはいけない点で、情が入る余地を無くしており、画期的だったのだと考える。
目的を失った呪いの複製と拡散、それ自体が目的である呪いというのは、今なお新鮮で面白い。