先生!口裂け女です!
都市伝説ホラーではなく、手垢の付いた都市伝説ホラーを脱構築した上で半グレコメディ青春原チャリアクションゴアに昇華した、インディーズ邦画。
都市伝説ホラーの皮を被っているからこそ、ジャンルの方向性が読めず終盤に向かうにつれ多々横断する姿勢に驚く。きさらぎ駅ではないが、正攻法のホラーをやる時代は過ぎてしまったのかもしれない。
主人公含めた三人組の能天気さが清涼剤だった。半グレの頭が身内に行う、加減を知らない小中学生のようなじゃれ合いの程度で、先の不穏さを思わずにはいられなかった。
三人組でいる間は男女に頓着のないアヤカが、半グレ集団によって自身の性を嫌でも自覚させられる場面が非常に吐き気がしてよかった。
藤原カクセイの特殊効果は安定の出来で良いのだが、風呂場の構図が佐々木勝己の星に願いをとほぼ同じだった点が残念に感じた。
口裂け女撃退作戦時の盛り上がる外連味のある構図やカメラワークなど、監督のひとりよがりではなく観客を楽しませようとする姿勢があちこちから感じられ、視聴後思わぬ拾いものをした気分だった。