『ファースト・マン』の感想です。 (1/2)
ずっと立ち込める死の予感。
最後に成功することがわかっていて、この緊迫感はすごい。
冒頭から生死の境すれすれの世界が描かれる。
そして、孤独感に圧倒される。
その後は、家族やチームの仲間にいつも囲まれていて、孤独なシーンはないのに、なんともいえない寂寥感を感じた。
主人公だけではなく、その妻も。
ジェミニ8号に乗り込むとき、宇宙船をなめるように写すのだが、まるで棺のように見える。
荒涼とした月面も、やはり死の世界を思わせる。
ラストシーンも、月面着陸が成功し、夫婦がガラス越しに対面しても、笑顔もなく、見つめ合うだけ。
死の淵から帰還してきたというのに、夫は彼岸にいるようだ。
住んでいるのが、まあ、日本なら社宅ということろで、ご近所も同僚。
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『ファースト・マン』の感想です。 (2/2)
妻同士が励まし合っているところも描かれるが、やはりお互いに垣根越しに話してる感じだし、男たちも、仲間同士ではあるけれど、一番乗りを狙うライバルでもあり、気を抜くところがないよね、という感じ。
しかし、白人しか出てこない映画だな、と思ったら、途中、アポロ計画に税金をじゃんじゃんつぎこむことを風刺したラップのシーンが有る。
生活の苦しさを訴え、「白人が月に行く」と。
NASAなんて、白人の男しかいない。
1960年代には当たり前の風景だったものが、いま見るとものすごい違和感。
ソ連との競争も、そういうこともあったねぇ、という感想。
自分がはっきり覚えてるから最近のことのような気がするが、50年前は歴史の世界なんだよな。
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