1917
これはすばらしい。
全編ワンカット、と宣伝していて、最初はそれを意識して見ていたが、そのうち話に没入して忘れてしまった。
カメラがぐるぐる回り込むので、「あー、そうだった」と思い出す程度。
別に宣伝のために長回ししたわけではなく、臨場感や、息詰まる感じを高めるのに実に効果的。
計算しつくされているのがよくわかる。
全体に彩度が抑えられていて、画面が茶色・黒・グレーで塗りつぶされている。かなりうんざりするのだが、夜のシーンを見たら、これも計算だろうなぁと思った。
廃墟となった街が、照明弾の中で浮かび上がる。そして炎に照らし出される建物とその影。禍々しく美しかった。
そして、女性の手の感触、赤ちゃんの柔らかい声と体、森の中で響く歌声等、後半、いろいろな官能に働きかけてくる演出も見事。とくに桜の花のエピソードと、川を流れる桜の花びらの響き合いがよかった。
完成度にはうなったが、好きかというと、戦争映画はやっぱりいまいちだ。これは完全に個人的な好みだけどね。