ダークヒーローというと個人的には正義とか公共性とは無縁の、あくまで私的な価値観で物事を判断し行動する享楽的なキャラクターのイメージがある。
人々の暗い欲望の反映というか、普通の日常生活を送っていると決して成就されない悪事をあっけらかんと実行してくれる人。『ハンニバル』とか、『ハウス・ジャック・ビルド』とか、『ダークナイト』ならジョーカー。ピカレスクロマンの主人公タイプ。
でもこういうタイプもダーク「ヒーロー」と呼ばれうるのは面白いところで、象徴性を帯びているかどうかがヒーローと非ヒーローを分かつところなのかなぁと思います。
誰でもヒーローというのはあり得ないけれども、誰もが誰かにとってのヒーローではあり得るというのは、そのヒーローが他者の眼差しの中で他者の願望(善いものであれ悪いものであれ)を象徴するからなんじゃないでしょうか。
逆を言えば象徴性の文脈がなかったら正義の人でもヒーローとは見なされない、という(おまわりさんとか)