サーミの血-2
物語は妹の葬儀のため帰郷したクリスティーナがホテルの一室で捨てたはずの過去を回想するところから始まる。
サーミであることで差別を受けたエレ・マリャは名前をクリスティーナとかえウプサラへと向かう。生きる場所が違ってもサーミ人であることを忘れさせてはくれない。
名前を変えコルトを脱ぎ捨てても血からは逃れられない。
差別とは何か?
中でも一番怖いのは「視線」だ。いつでも周りを注意深く見ているその仕草が印象的だ。
多くの人がエレに感情移入するのは難しい。私たちは民族迫害されたことがないからだ。
しかしクリスティーナが多くを語らず、かわりに表情や視線で感情を表現しそこに少なからずとも観客は自身を重ねる余白がある。
エレと対照的な妹、エレの孫娘もまた対照的な立場だ。エレだけがサーミとの間で揺れている。二律背反を抱えたエレが救われる日が来るのだろうか。