オッペンハイマー鑑賞。
原爆の!原爆の!と身構えるほど科学の話でもなく、どちらかと言えば政治多めの話で意外だった。だから面白いかと言われると、全然知らない話ばっかりで、TENETとかとはまた違う意味でついていけてないのだけれど。とはいえ、全然眠くならなかったのは音とか、やっぱり良かったからかなー。ありがとうIMAX。
大成功の直後、実験から実用となると、蚊帳の外にされてしまうオッペンハイマーの表情。世間的にはヒーローかもしれないけど、実情としてはあの瞬間に軍にとってというか国にとってというか、既に何者でもない、取るに足らない人物になってしまっているように見える。大統領に、なんならそのまま言われる。あの「責任があるのは、私だ」は慰めの類ではなく軽蔑に近い「お前なんて何者でもない」と同義だ。
自分の手から離れていった途端いろいろなものをコントロール出来なくなっていくようにも見えた(歴史的な事実としては公聴会までにも、もっと時間が経っているんだろうけど、イマイチ時間の感覚がわからない映画だった)

彼自身は原爆によってどんな酷いことが起きるか一番わかっているであろう自分たち科学者を大量殺戮の責任は自分たちにはないのだと説得できる人で、他人から見れば自分自身をも説得できる人間だとまで言われる。けれど、それでも頭をよぎる閃光、悲鳴、焼ける世界の幻覚に苛まれ、聴聞会の流れを受け入れていく姿に"罰されたい人"なのだという印象を受けた。(それをキリアン・マーフィーにやらせるところに結構なフェティシズムを感じるのは私だけだろうか)
また、序盤で天才たちが少し言葉を交わした部分が、最終的にストロースこそが天才たちにとっては話題にするにも値しない取るに足らない人物であったと当てこすられるのは溜飲が下がった。いや、注目すべきはあの時点で既に未来を正確に予期していた天才たちの会話自体なんだけれども。
ノーラン映画にしては女性が綺麗に見えたと思う(そこがいつも不満😅)聴聞会で奥さんの番が来た時、最初落ち着かなげだったのに徐々に流れを掴んで、その場の空気を掌握していく姿が、なんとなく好き。

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オッペンハイマー、歴史的なことなので特に伏せる意味もないけど、一応伏せておく面白かったところ。 

他の作品で見知ってる俳優がいっぱいいたので役名じゃなく俳優名でキャラを把握する体たらくではあるが、クラウス・フックス役は全然地味で誰だかよくわからない感じの俳優だったので面白かった(有名な方だったらごめんなさい)爆破の実験の時も「フックス、頭を下げろ」ばっかり言われてて。そもそも情報をソ連に横流しにしてたの、あの地味なやつだったんかーい!

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