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クロース鑑賞。 

「永遠を壊したのは、僕。」ポスターとキャッチフレーズが秀逸だった。花が咲き誇る夏を駆け回り、ぴったり寄り添って過ごしていたレオとレミ。いつだって相手の顔を見つめるのはレオだったのに。少しずつ、そしてあまりにも急速に始まったズレが悲しい。
レオが、レミが、あるいは家族が何を考えているか、言葉に出されることはほぼない。世界に存在するのは二人だけみたいに夏休みを過ごした彼らが、中学校に上がる。マッチョな趣味、スポーツの話。友達ができないわけじゃないけど、休み時間は輪の周辺で頼りな気に笑ったレオが、いつの間にか周りに馴染んでサッカーをする。レミを残して季節が変わる。ただ鍵が壊れている、ただ雨が降る、ただ犬の鳴き声が聞こえない。そういう事実を提示し、静かにレオの表情を追いかけるカメラ。控えめなトーンなのに、そこから汲み取れる感情があまりに多くて、結構最初の方…それこそ初めの喧嘩?つかみ合い?くらいから泣いてしまった。号泣というよりは、すぅっと流れて止まらない。そんな涙。

クロース鑑賞。 

スキンシップが多いご家族だと最初ちょっと思ったけど、その距離感がレオにもレミにも普通だった。眠れないレミを落ち着かせるのもビッグスプーン側なのもレオだった。レミは芸術家肌で少し繊細なところがあって、レオはお兄ちゃんがいたから(寂しくなって兄のベッドに忍び込んだシーンから考えても)レオはレミに対しての責任感というか、対等だけど兄貴分みたいな心があったのかな、と思う。それなのに、やんわりと突き放し、彼の心の傷から目を逸らした。薄っぺらくて細いあの体が、責任感と罪悪感で押しつぶされそうになっていたかと思うと心が苦しい。骨折して泣くのも、そういうことかな。ひっそり泣くことはあっても、あんな風に泣くのはあのシーンだけで、積もり積もったものがパチンと弾けた。直接言葉にはしない、激しい感情を表したりもしない。花畑で始まって花畑で終わる美しさと、そこに喪失の痛みと成長を織り交ぜる、そういう感覚の映画。

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