Gully Boy (Hindi - 2019)をイオンシネマ市川妙典で。
ベルリン映画祭に出品しただけあって英語字幕の質がいい。やればできんじゃん。テーマはスラムのムスリム青年の成人物語で、それを芸道ものフォーマットに当てはめた、割とマイルドな仕上がり。Kaalaにあったヒリヒリするリベレーションのメッセージは驚くほどない。スラム暮らしの鬱屈の描写はアクセント程度。ラップで面白かったのは、先輩ラッパーとの最初の出会いから、コンテストに至るまでの全ての音楽シーンで、ムシャーイラーっぽい演出がされていたこと。演出というより実際がそうなのだろうか。コンテスト部分では即興が勝っていたが、ラッパー・デビューのシーンでは、自由詩として書き溜めていたものを吐き出す様子が描かれ、また周囲とのインタラクティブなパフォーマンスもムシャーイラーそのものといった感じだった。やはりバトルは芸道ものの華だが、クライマックスでは独演会状態で悪役に相当する相手が出てこなかったのがやや不満。楽曲ではApna Time Aayegaが一番良かった。シェール役でデビューのシッダント・チャトゥルヴェーディは覚えておこう。