Raazi (Hindi - 2018)をイオンシネマ市川妙典で。
リアリズムとご都合主義センチメントとの配分が絶妙なスパイスリラー。メッセージや核となる愛国的決め台詞などは、こしこれが日本で日の丸鉢巻きした方々に言われたらドン引き確定なものなのだけど、インドなら十分有効と思わせるダブルスタンダード物件。アーリヤーは基本の作りがちんくしゃと思うのだが、角度によってはっとするほどの細密画美人になる。ヴィッキー・カウシャルも、ジャイディープ・アハラーワトもラジト・カプールも、皆印象的で、後から調べてみると1本や2本の過去作を見てるのに、なぜボリ俳優だと顔を覚えられないのか自分。上流階級のガーデンパーティーでのカクテルドレス風サリーから市場を歩くときの正真正銘のブルカまで、ヒロインのコスチュームの振れ幅に思うところがある。アーリヤーはついつい”2 States"と比較してしまうのだが、印パ国境を隔てても政治イデオロギーの激烈な対立がありながらも文化摩擦がないのが凄い。一方でインド国内でヴィンディヤ山の北と南で結ばれると文化ギャップで映画ができてしまうというのが、やはり驚くべきことに思える。