Angamaly Diaries (Malayalam/2017)をDVDで。
公開時に川口で見て以来の2回目。あの時は、クライマックス長回しについては予備知識があり、包み込まれるような圧倒感にスクリーンで観たことの幸福を噛みしめたのだった。ギャング抗争映画と評するレビューが多いが、実際は活気あり雑駁で荒くれた街で起きる青年同士の若気の至りの競り合いのようなもので、ボンベイギャングものなどにある、組織暴力に加わった者の矜持や覚悟や悲壮はない。主人公は抗うすべもなく暴力の世界に引き込まれるが、最後には幸せになるというのが人を喰っている。そして大人げない争いに加わる「青年」には中年の親父も混じる。しかし人死には割と簡単に起こり、その償いを金で解決するメソッドまでもが確立されている。技法的には初期のものに見られた手持ちカメラ、コマ落としなどの動きのある被写体を捕える際の特殊効果が復活したが、より洗練・円熟を感じさせ、技法に淫した印象はない。抑制のきかないフレンジーという点ではJallikattuを予言するが、具体的な特定の場所に徹底的にこだわった点で空前絶後。汎インド映画的なものと完全に逆。