『教皇選挙』(USA, 2024)を池袋TOHOで。
ポリティカル・スリラー好き、「ヴァティカンもの」好きとしては見ないわけにはいかず。なぜ両者が好きなのか自問自答するのだが、どこまでも大人の世界だからなのだと思う。瞳キラキラの子供が持つことのできる抽象的な理想主義や「正義が勝つ」史観から遠く離れた大人げない大人の事情の中で最適解を探すのがポリティカル・スリラーだし、それが重厚な舞台装置と様式美の極みといえる装束で、主として言葉の応酬による粛々と繰り広げられるのが「ヴァティカンもの」だから。キーとなる人物の身体性についての説明は遠回しですぐにはピンとこなかったけど、アルダナーリという便利な語があるなと思った。アルダナーリはむしろ完全性を示すものであるが。公式サイト解説は前教皇の先見に重点が置かれていたが、むしろイギリス出身首席枢機卿ローレンスへの神からのメッセージの方が心に残った。前教皇から「羊飼いよりも管理者」向きと言われ、自身もそう信じていたローレンスが、「ヨハネ」という名を密かに心の中で温めていて、それに向け一歩踏み出した際に神の劫罰のようなビッグバンが起き、目を覚まさせるくだり。