Al Massir (Arabic/1997)をイスラーム映画祭で。
前説と事後のレクチャー付き。邦題は『炎のアンダルシア』。娯楽的な作風のものであっても、これは大変にありがたいものだった。さらに帰宅してからパンフも読んで大充実。冒頭のフランス・ラングドックのエピソードが大変に気になった。フランスでは人が焼かれても、イスラーム世界では書物だけで済んだということがいいたかったのか。ストーリーラインは『神に誓って』とかなり似ていて驚いた。そして本に対する迫害のスリリングな展開には、アレクサンドリア図書館の炎上が何度も想念のなかに浮かび上がった。そしたら監督がアレクサンドリア出身(しかも東方カトリックの出身)と知って吃驚。そして原理主義への勧誘の手口。あれが12世紀に本当にあったのなら人は全く進歩していないことになるのだが。イスラーム教徒、ジプシー、(アラビア語を話す)キリスト教徒が普通に共存するコルドバは、バグダートに比肩しうる西方イスラーム世界の中心地だったとのことで、アラブ人の立場から見た歴史映画の舞台となるのにふさわしいのだろうなと思った。肝が据わり、世話焼き型の恰幅いい女性が印象的。