Arunachalam (Tamil/1997)を日本版DVDで。(2/1)
邦題は『アルナーチャラム 踊るスーパースター』。20年ぶりぐらいに見たのではないか。字幕翻訳者のクレジットは見たところなし。不思議な素人字幕で、改行位置がアバウトで、さらに「制約」と「誓約」を取り違えるレベルのタイプミスが多数あり。一方で例えばヴェーダ―ヴァッリのような人名は怖ろしく律義にカタカナ化していてしつこい感じ。しかもところどころミスタイプ。監督はデビューから2年後のスンダル・C。前半と後半がほぼ別の映画なのだが、後半の面白さ、風刺の効き具合が比類ない。前半のカンナダ語ソングは今になって聞くと感慨深い。後半に登場するランバーの肉体美と童顔の対比はこの時代ならではのものに思える。使っても使っても減らない金を必死に減らすシュールな状況は庶民の夢だが、その裏に「巨額の遺産を受け継ぐ相続人は、まず金を嫌いにならなければならぬ」という逆説的なロジックが潜み、『ムトゥ』のソングや『バーシャ』の前半で語られたラジニ哲学がここでも見える。浪費作戦で映画製作→政党立ち上げと続く部分にはどうしても現実とのリンクがちらつく。