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『バリー・リンドン』(USA/1975)を国立映画アーカイブで。 

3時間5分、途中10分の休憩付き。これを以前に一回だけ観たのは多分大学生時代だったと思うので、何年ぶりかとか考えるだけでも恐ろしい。あの櫛で梳くように兵が死んでいく戦闘の場面と、マリサ・ベレンソンの立ち姿だけしか覚えておらず、新鮮に見ることができた。アイルランドの没落貴族の末裔が行き当たりばったりのハッタリと幸運とで成り上がるが、貴族社会の壁と運の尽き(あるいは生命力の減退)によって敗れ去っていく様を昆虫の観察日記風の突き放した視線で、しかし執拗に追った一代記。決闘に始まり決闘に終わる。小悪人や悪人が登場し、感情移入できる者やできない者が入り混じるが、神の視点からはいずれも歴史の渦の中に消えていく駒でしかない。啓蒙主義の時代の偉大は見当たらない。時代精神の表出という、普段見ている某国映画ではあまりお目にかからないものを久しぶりに堪能した。マリサ・ベレンソンはもっと大味なルネサンス的な大女の風情だと記憶していたが、むしろ60~70年代のポップ&サイケのテイストが勝っていた。資料:kubrick.blog.jp/archives/cat_5

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