Don (Tamil/2022)をNTFLXで。
もう二度と見ないつもりでいたのに、事情あって再見。劇場初見で字幕が追いきれなかったところは少し解明したが、安いものを見せられたという感想は相変わらず。特にブーミナーダンのキャラの突然の変貌は意味が解らない。打ち所が悪くて突然いい人になったという解釈しかできないが、シリアスになる展開の中でそれはないだろう感が満載。ブーミナーダンと父のキャラクターをパラレルに並べて語ることを意図したからなんだろうが、単なる思い付きの範囲を出ず、効果がない。専制的に振る舞う父親が実は慈愛に溢れながらも不器用でそれを表現できないというパターンは、Ozhimuriでもあったが、本作でのそれは後だしジャンケンが過ぎる。親に行き先を決められて窒息する子供の悲哀と、身を粉にして働き子供に教育を受けさせようとする親の犠牲、それに規律ばかりを求める硬直した教育、3つの相容れないテーマのコンフリクトは、父の死と主人公のとんとん拍子の成功によって棚上げされてしまい、本質的な解決を見ないままにセンチメンタルな洪水によってあいまいにされて終わる。演技が素晴らしくても後味は良くない。