Soorarai Pottru (Tamil/2020)をオンラインで。
大評判作品をやっと観た。立志伝中の在世中人物の伝記をイケメン俳優で作るのには食傷している。塵埃の中から立ち上がり成功する人物を讃えることに忙しく、塵埃の中に留まり続ける無数の人々には目を留めない傾向から。本作が他作品と違うのは、主人公が高みに上るだけではなく、底辺の人々が利益を得る結末になっていること、とんとん拍子に行かないプロセスの描写がマハーバーラタ的格闘で最後まで目が離せないこと。スーリヤの血管ブチ切れ演技が上手く組み込まれ、アパルナの鉄火とのケミストリーも上々だった。格安航空のプロモでもあるサクセスストーリーであるとともに、夫婦愛の物語だがベタベタしないのがいい。夫が夫なら妻も妻という肝の据わった豪胆さ。前半でのマドゥライ地方の絵になる風土の描写もいい。ただしモデルになった人物はカルナータカ出身とのこと。まぜマドゥライなのにDeccan Airと訝しく思っていたのだ。パレーシュ演じる悪役が、下賤な人々を招き入れないためにあえて航空運賃を高くしているという趣旨のことを言うシーンが非常に分かりやすくて良かった。