『ブリジャートン家』(Bridgerton、米、2020-2022)をNTFLXで。
一週間ぐらいかけて数話ずつ見た。いや奇態なドラマだ。英国ロマン主義時代のメロドラマは『いつか晴れた日に』などでも垣間見ていたが、グロテスクな人身売買の結婚市場を愛と言いくるめてロマンスとするのに辟易してた。インドの見合い婚の方がよっぽど文明的に見える。ここもその世界観で成立している。シリーズ1は黒人の公爵が登場して、子爵家の令嬢との恋模様が描かれた。ジョージ3世妃のシャーロットが一部黒人の血を引いていたという説から着想されたのか。身分制度はがっちりあるが、人種差別はなく、宮廷には黒人や極東人も闊歩する並行世界(以前には差別があったが王妃の登場でそれがなくなったと微かに言及されるが)。ちょうどオペラの世界でジェシー演るのを見るようなものか。王妃とその周辺だけが半世紀ほど前の衣装というのは何か意味があるのか。しかしシーズン2になってインドからシャルマ一家が登場することによって、その並行世界に歴史と文化が持ち込まれておかしなことになった。高貴な野蛮人じゃなく英国宮廷にインド人がいたならそれをこそ物語にすべき。