『王の運命(さだめ) –歴史を変えた八日間–(사도、2015)をオンラインで。
韓国文化院提供の映画特集で。いやこれは傑作だわ。側室の息子として生まれた王子が、唯一の男児だったために王妃の子として引き取られ、母の愛を失い、神経質で加虐性もある王の下で抑圧された思春期を送り、成人後も自立を許されず次第に精神のバランスを崩し、謀反の疑いで米櫃に閉じ込められて餓死させられる。有間皇子か大津皇子か。国是たる礼と学問のどちらにも馴染めなかったというのが極めて批判的で現代的。毒親もののようでいながら、その枠だけにも収まらない深みを持つ。某国映画の歴史もののペラペラの大仰さとは一線を画す。歴史ものの醍醐味の一つは、あり得ないほどの事大主義と虚礼の足枷に絡めとられた人間の観察だが、一方で一個の肉塊となって死にゆく人間のリアルな苦悶も感じられた。ラストでその王子の息子が王となり、王家に平安が訪れる。新王はその父に生き写し。まあ、劇的効果で同じ俳優がやるよねと思ったが、後から調べたら全然別の俳優だった。韓国人の顔認識ができてなかったのにショック。某国人の顔認識は得意で、それができてない他人を笑ってたのだが。