Kumbalangi Nights (Malayalam/2019)をYTで。
公開時にプレビューを書くために山ほど現地レビューを読んでストーリーを事前にほぼ知ってしまったのに、自分自身は旅先の場末館の字幕なし上映で見なければならなかった痛恨作。YTに降りてきて初めて英字幕付きで観た。やはりこれは真っさらで観たかった。そして4人兄弟のバラバラの出自に驚き、終盤のアレに震えたかった。なるほどクンバランギはエコヴィレッジなのか。そして兄弟の住処近くだけが「ゴミ溜め」と貶められた場所で、一家の生業は一応は漁労であったか。それにしてもやはりファハドが凄まじい。肥大した自意識と階級意識の化け物で、でも実際は町の床屋さんという庶民的な職業(グルーミングのプロというのは象徴的だが)。微かに潤んだ目でいつも他人を見下している。猛禽のようにシャープな容貌のファハドが、このねっとりと薄気味悪い男をこれほどリアルに演じられるとは。そして彼が同世代の中のトップ俳優であるという事実に、マ映画界の特殊性が迫ってくる。それに女優の個性的な容貌も。3年前に一度聞いただけの音楽もスッと心に馴染むもので見事。カメラも最上。