Nenjam Marappathillai (Tamil/2021)をキネカ大森で。
ジャングルをフィーチャーしたEn Pondatti Ooruku Poitaの動画が理由でいつか必ず見なければと思っていたもの。セルヴァラーガヴァン監督作と知り尚更。SJSのキモい顔芸に頼り切った部分があるとはいえ、快作。相変わらずセルヴァラーガヴァンはグレーなヒーロー(最後にはグレーから真っ黒になるのだが)を描くのが上手い。リアルから外れた情念世界を描くのも。通常ホラーは怪異が先行し、その怪異の元を辿っていったところで過去の惨劇や怨念が明らかになるというのが定石だが、これは倒叙型とでもいうべき、べったりと時系列にそって叙述するスタイルで、却って新しい。主人公の名のラムゼーというのはRamsey兄弟へのオマージュか。シヴァージ主演の1963年の同名作への言及もあるという。En Pondatti~は歌詞の意味が分かると尚更にジンジンくるし、劇中の「一度轢かれた犬は、その後に来るトラックに何度でも轢かれるさ」という台詞など、酷すぎで効果的。出だし近くの子供の入浴シーンあたりからの映像の凝り方がとてつもない。