Nayattu (Malayalam/2021)をNTFLXで。
クンチャーコーお坊ちゃんが深刻な顔で温泉に浸かってる画像が気になってた一本。見てみたら温泉気分は全くなく、最大の悪役は政治システムであるというポリティカル・スリラー。小さな悪役はゴロツキまがいのダリト運動活動家というのだから、もしも劇場で公開されてたら大騒ぎになったかも。しかし主演の(被害者としての)警察官の一人もダリトであり、その部分でバランスを取ろうとした苦心の跡がうかがえる。ダリト活動家の疑わしい交通事故死。選挙を目前に控え、野党や世論を刺激しないために州政府トップが即時の犯人逮捕を求め、警察トップもその圧に抗しきれず、色々と手続きを省略して主人公たちを犯人に仕立て上げようとする。それが分かっている主人公たちはひたすら逃げる。警察幹部の言う「CBIに介入されたらコトだ」というのが印象的。なぜCBIが存在するのかがよく分かる。色々なボタンの掛け違えが雪だるま式に膨れ上がって最終的な悲劇に繋がっていく脚本の見事さ。特に終盤のスマホをぽろっと落とすシーンの痛恨たるや。マーティン・プラッカートがここまで巧みな作劇をするとは。