天命の城(프리즌、2017)をオンラインで。
韓国文化院の「韓国映画特別上映会」の第1回。1636年の丙子の乱の一部始終を描く。南漢城はソウルの南郊にあるが、その厳冬の描写は見てるだけで凍てつくよう。清朝始祖のホンタイジが攻め込まんとする中で、南漢城の臨時宮廷で交わされる和平派の崔鳴吉と主戦派の金尚憲との対立を描く。最終的に崔鳴吉の主張が通り、朝鮮は清の属国となる。金尚憲はラストで自刃するが、史実としては生き残り、波乱の多い後半生を生きたということを後付けで知った。崔鳴吉は李朝の末期までは売国奴という評価だったという。作中で崔鳴吉自身が自分をそのように形容するところがあり、つまりこれは歴史的なヴィーランに別の角度から光を当てる系の作品なのだと分かった。原作があるそうだが、国王を前に二人の大臣が交わす哲学的でさえある議論が白眉。中華と小中華という概念を理解していないと深く味わうのが難しいとは思うが、歴史ものにありがちなエスノセントリズムからは遥かに離れたところにある秀作。そして儒教的文明を武力で蹴散らしたホンタイジの末裔が、やがて中華文明に飲み込まれてその体現者となるというのが歴史の皮肉。