Maanagaram (Tamil/2017)をUSAPで。
カナがラージ監督の過去作を漁りたくなったので。どうした訳か字幕が読みづらかったため、所々因果関係が分からなかった。いわゆるハイパーリンク・スリラーで、レビューは絶賛のものが若干見つかるが、これまで目にしたことがなかった一本。「マドラスの日」というローカルな記念日に、チェンナイ市の暗部で起こるあれこれをまとめた(偶然に助けられて最後は悪が罰される)ニューウェーブ系。巧みだとは思うけど、こういうハイパーリンクは2012~15年頃のマラヤーラム映画界で散々に作られたのに付き合って、今更の新味はない(Super Deluxeを絶賛できないのも同じ理由)。もっさりしたサンディープとガリ痩せのシュリーが前面に出て来て、リアルなことこの上ない。シュリーの役柄には過去作品からの残像が混じる。Bクラス俳優を使い、脚本や演出の上手さを見せつける(=次につなげる)だけのために作った低予算映画という感じだけど、多くの時間を占める夜の街路の描写には、二年後のKaithiを思わせるものがあった。チェンナイ賛歌がフワフワした消費文明礼賛じゃなくて良かった。