Naan Mahaan Alla (Tamil/2010)をDVDで。
タミルニューウェーブが盛んだった10年前の作品。一見して前半と後半の乖離が酷く、失敗作と思った。冒頭シーンの惨劇がストーリーの主筋に絡んでくるのが遅すぎてお気楽な前半も楽しめず。ありがちな「途中で消えるヒロイン」も。だが当時のレビューを見ると激賞しているものも多く吃驚。その称賛はリアリティにあるというのだが、カールティが弛んだ体を惜しげなくさらすところなどは確かにリアルだが、最後の格闘では無敵の超人になってしまうのが画竜点睛を欠く。10年たってお勧めとは言えなくなってしまった。ただ、駄作と決めて捨て去るには惜しい部分も多い。惨劇の舞台となる南チェンナイの廃村(津波の犠牲になった場所という)の佇まい、仲良しになったギャングの人の良さ、子供に激モテの主人公を演じるカールティのハマり方、ごみごみしたスラムのリアルさ、少年犯罪グループの不気味なまでの戦闘力の高さとその説得力(実話というのはこの部分か?)などなどが捨てがたい。VJSは主人公の友人役で登場して何か一波乱起こしそうな感じを漂わせるが、何も起きずただの友人で終わる。