Jallikattu (Malayalam/2019)をアジアフォーカス福岡国際映画祭で。
邦題は『ジャッリッカットゥ』。やはりリジョーは見逃せないと思ったので。VPNをかませば配信でも見られるけど、IMAX用のスクリーンで見られて良かった。予備知識は極力排して臨んだ。ジャッリッカットゥといえばタミルの政治的なアイコンだが、マラヤーラム語映画でこれをどう扱うのかという好奇心。見てみた結果、これは牛追い祭りとは無関係で、単なる比喩として使われているだけ。あるいは牛追い祭りの原初の形を示したとみるべきか。背景になるのが西ガーツ山脈のどこかの入植によってできたクリスチャンがマジョリティの村というのも神話性を演出する。それにしてもマラヤーラムのクリスチャンものというのは、なぜおしなべてマチズモとマス・フレンジーと暴力を扱うものが多いのか。そしてお約束のように女は淫蕩の翳りを持っている。クリスチャンのリジョーの作品でなかったらステレオタイプとして非難されてたかも。それにしても、娯楽フォーマットの中に魔術的リアリズムを取り入れた快作を撮ってたリジョーが娯楽フォーマットを捨てたのには、何とも言えない。