Valaiilla Pattadhari(Tamil/2014)をYTで。
たぶん5年ぶりぐらいの二回目。インドの教育制度と社会制度のゆがみのひとつとして、その時々の人気専攻に学生も雇用主も集中して、それ以外の分野の学士が不遇をかこつというのがある。前世紀末から現在に至るまでの圧倒的な勝ち札は情報処理専攻。NadodigalやKattradhu Thamizhは文系に進んだだけで負け犬となってしまった青年の鬱屈を描いていた。しかし、同じ理系でもコンピュータではなく、土木エンジニアリング専攻でも職がない状況というのは本作を見るまで知らなかった。ダヌシュ演じる主人公が本気を出すと格闘家はだしに強いということ以外は全編がリアル。対する敵役の金持ちボンボンは以前だったら誇張が過ぎると思ったかもしれないが、実際にこういう奴がいるだろうというの、今なら分かる。主筋はロウワ―ミドルクラスの若者の成長譚であるものの、重要なモチーフとしてスラムの住人の生活環境改善というものも織り込まれる。このあたり、2010年代後半に入ってからのダヌシュ・プロデュース作品Kaalaなどと共通するものが認められて興味深い。