Psycho (Tamil - 2020)をNTFLXで。英語字幕。
いきなりの斬首シーンから始まる金縛りの146分。見終わってから首元に毛布を巻き、夢を見ないといいがと思いながら就寝したが、目覚めると不思議なほどに晴れ晴れとした気分だった。これがredemptionというものか。漆黒の夜、障碍者、哀歌、暗い情念等々、もちろん本作でもミシュキン節が炸裂。本作の新機軸はアディティ・ラーオ・ハイダリという大輪の花をその無残絵の最中に配したことか。血糊でべたつく陰惨な地下室で、バラ色の服をまとった彼女が振り下ろされんとする刃を目にしながら薄っすらと笑うシーンだけで言葉にならない美が画面を支配する。ニティヤもまたベスト演技のひとつではないか。華やぎではアディティに譲り、男らしさを前面に出した。ドライブでのシーンは笑う。ウダヤニディは芝居ができるタマかどうか知らないが、全編グラサンで通したことによって能面のような効果が生じて悪くなかった。サイコキラー役のラージクマール・ピッチュマニは今後役者人生が開けるかどうかは分からないが、狂気とそこそこのイケメンぶりとのブレンドが良かった。画面から血の匂いが。