Ozhimuri (Malayalam - 2012)をDVDで。6年ぶりぐらい。
公開時に見て大変な感銘を受けた一作。男と女、タミル人とケーララ人、ブラーミンとナーヤル、老人と若者という幾つもの対立軸を展開して、旧トラヴァンコール藩王国の人間関係を描く。これら諸要素は対立しながら混じりあい、汽水域のように絶えずお互いを侵食しつつ濃密なレイヤーを作り上げる。初見時は納得できなかった結末も、今回はすんなり腑に落ちるものがあった。老境の夫婦の、夫は女性を恐れるがゆえに妻に対して専横となったこと、妻は夫の奴隷であり続けたこと、これらを断ち切るために二人は離婚という手段を選び、そのうえで一緒の生活を続けていくという終わり方は、この物語の結語にふさわしい。そこから、過去を恥じることなく(かといって栄光化することもなく)曇りない目で見つめなおし、同時に過去にとらわれることなくより良き関係性を模索しようというメッセージが感じられる。一方で、特定のカーストの人々の群像的肖像を描こうとするこの意思は、インド映画においては極めて特異なものに思える。もう少しきちんとした英語字幕が付いていればと惜しまれる。