Luka (Malayalam - 2019)をDVDで。
何かのついでに買ってあったDVDで、トレーラーすら見ていなかった一本。最近こういう白紙での映画体験は珍しい。監督はほぼ新人。構成力の弱さからくる150分の長尺。ただし、見覚えのあるフォート・コーチンの風景、そして醸し出される若者の解放区的な雰囲気には涙しかない。コーチンのビエンナーレが背景になった映画としては初ではないか。サブ主人公である警官の性的不能は非常に奥歯に挟まった言い方で暗示されて、どうだろうと思った。妻であるムスリム女性がヴェールを一切被っていないの印象的。ロマンスが絡んだマーダー・ミステリーで、殺人のトリックは古典的と言えば古典的。それが却って盲点となり、種明かしまで気づかなかった。一方で難病ものとしてのモチーフもあり、主人公にはネクロフォビア、タナトフォビア、アンガー・マネージメント欠如症などと色々盛りだくさん。それらと合わせ技でボヘミアン的アーティストというやや気恥ずかしいパーツもあり、しかしそれらを一つのキャラとして統合したトヴィノは凄いし、トラウマを抱えたヒロインをやったアハーナの個性的な風貌も生きていた。